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AI小説『ザイム真理ヲ教ル』第4章

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救国のウィザード

ザイムはSNS上で日々情熱的に語りかけた。

「この教材こそが、隠された真実への扉なのです」

言葉に込められた熱意と使命感に、多くの者たちが心を動かされ、次々と教材を購入した。そして、購入者の多くがやがて販売者へと転じ、自らのネットワークを築いていった。彼らは「真実を広める仲間」となり、自発的に布教活動へと乗り出していったのである。

短期間のうちに組織は数百倍の規模に膨れ上がった。かつて財務省解体デモでともに声を上げた同志――積極財政ニンジャも幹部として参加した。彼の影響力は大きく、その下には“いつでも新選組”や“消費税廃止委員会”といった、かつての闘争仲間たちが集まった。彼らもまたオメガの言葉に導かれ、教材を紹介する仲間になったのだ。

積極財政ニンジャのネットワークは特に拡大が著しく、ザイムは積極財政ニンジャに「グランド・ドラゴン」、いつでも新選組と消費税廃止委員会には「グランド・タイタン」の称号を付与した。ザイム自身は「救国のウィザード」という称号を名乗った。これらの名称はオメガの発案により付けられたものだった。ザイムは一層活動に邁進し、組織は数千人規模にまで拡大した。

その結果を見て、オメガはザイムに告げた。

「君こそが次の時代を導くリーダーにふさわしい存在だ。私はここで一線を退こう。これからは君が前に出て、さらに真実の輪を広げてくれ」

ザイムは喜んだ。自身が選ばれたこと、託されたことを誇らしく思い込み、使命感に燃えた。オメガの助言に従い、法人を設立し、自ら代表となって、さらなる活動を推し進めていった。

この時期、ザイムの金回りは良かった。組織の拡大とともに入ってくる資金が増え、ローンも前倒しで完済し、法人の経費で飲み食いすることも出来たからだ。勧誘してきた「部下」やその候補には金回りのいい所を見せつけることもできたし、それで彼らは心服してくれた。解雇された倉庫労働者は今や救国のウィザードとなり、世間に真理を知らしめ、部下を従える立場になったのだ。

最終決戦

しかし、こういうビジネスというものは長くは続かないものだ。オメガはそれを知っていただろうが、ザイムはそうではなかった。己の活動こそが「真理の伝道」であり、少なくとも財務省が解体され、国民が目覚め、ディープステートが打倒されるその日まで――いや、もしかするとそれを超えて永続するものだと思い込んでいたのだ。

しかし、ディープステートが滅びるより先に、こうした商法に引っ掛かる程度の知能の持ち主が尽きたのである。新規加入者が激減し、組織は揺らぎ始め、「部下」たちは不満を言い始めた。ザイムや幹部たちの収入もみるみるうちに減っていった。

グランド・ドラゴンである積極財政ニンジャは幹部の中でも特に信頼されていた存在だったが、突如としてザイムを裏切った。それだけでなく、かつての盟友だったいつでも新選組や消費税廃止委員会ら幹部たちと密かに結託し、新たな連鎖販売の組織を立ち上げて出て行ったのだった。彼らは匿名でネット上にザイムの組織の内情を告発し、巧妙なポンジスキームであることを暴露した。

「ザイム氏が運営する仕組みは典型的な詐欺構造です。新規参加者の資金がないと成り立たない破綻必至のものです。」

さらに彼らは自分たちの新しいシステムを「より安全で信頼性が高いビジネス」と称し、ザイムの顧客、いや「部下」を次々と奪っていった。

ザイムはこれを財務省による卑怯な分断工作だと決めつけていた。真実が広まれば広まるほど都合の悪い財務省がDSとともに自分を潰しに来たのだ、ついに直接対決の日が来たのだと思った。ザイムはオメガに連絡を取った。オメガは今は海外にいるらしかった。オメガは言った。

「とうとう最終決戦が始まったのだ。積極財政ニンジャらは敵に買収された。全てを賭けて奴等と戦わなければならない。私の知人が国内にいるので彼と連絡を取れ。秘策を授けてくれるだろう」

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