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自治会のDX、始めました。

なぜ自治会DXを始めたのか

今般、自治会DXをすることとなりました。事の始まりは、私に自治会長職が回ってきた事にあります。ある日、地域の高齢者が私の自宅に来て、「来年度は自治会の班長を引き受けてほしい」というのでこれも輪番であろうと引き受けたのですが、その際にアンケート用紙を渡され、「自治会長を引き受けても良いか」という項目があったので「他に希望者がいなければ引き受ける」と回答したのです。

これが実は罠で、実際に新役員の顔合わせ会というのに出てみると、新役員は皆「絶対にやりたくない」と回答しており、私以外は誰一人引き受ける気がなかったのです。そのため自動的に自治会長は私ということになったわけです。まあとはいえ、自治会長をやれば地域に顔も売れるだろう、商売も広がるだろうと思って快く引き受けた次第です。

惨憺たる現状

ところが実際に引き受けてみると、自治会は大きな問題を抱えていることが分かりました。情報がまともに整理されていないのです。まず今の役員が誰なのか分からない。私が住んでいる地域は新興住宅街で地域顔なじみの関係というのが強くないのですが、それにしても役員名簿がどこにあるか分からない、連絡先も分からない。これは他の役員さんも同じようで、とりあえず私の携帯番号だけは皆に公開しましたが、自治会長なら知っているだろうという感じで色んな人からなんでもかんでも持ち込まれてくるわけです。当然私も知らないので困るわけです。

そうした中、防犯推進の組織からはあそこで不審者が出たから注意文を回覧しろとか、会費を集めて管理しろだとか、経費を払うから預金口座を早く名義変更しろとかそういう会務がどんどん来るので、何がなんだか分からないまま対応を迫られてしまうわけです。左翼活動家らしきおばあちゃんがやってきて自衛隊に反対しようみたいな事もあったんです。これではなり手不足が起きるのも当然だろうと。普通だったら2度とやりたくない。全国的にこうなっている自治会は多いのではないでしょうか。どうにかしないといけません。

業務情報らしきものとしては、いくつかのUSBメモリを渡されて「この中に昨年までのデータが入っている」と引き継ぎされました。どこに何が入っていて何をどう使うかは自分で探さないといけません。議事録1つ探すのにもパソコンの前で探す手間が必要になる。紙資料は?というと集会所に人が殺せそうなサイズのファイルにぎっしりファイルされた資料があり、やっぱりそこから探さなければいけません。最初見た時は10年分かな?と思いましたがファイル1冊で1年分でした。

多分こうした思いは他の役員さんも感じているはずで、自治会の仕事って面倒くさい、やりたくない、無くなってほしいと思っているんでしょうね。そうでなければ「絶対にやりたくない」なんて書くはずないですから。

業務と情報の見える化が必須

こうした問題の根本原因はどこにあるかというと、「自治会業務をするのに必要な情報(マニュアル・先例・やり方・手続き)が整理されていない」「業務が属人化しており、過去に役員をやった人しか分からない」「新興住宅街の自治会なので誰が過去の役員か分からないし、その人に気軽に聞けるだけの関係性もない」といった、私たちが中小企業コンサルとして出会う現場あるあるな事だったりするんです。

今回は「業務と情報の見える化」が課題というのが当面の課題です。私を含めて自治会の役員さんは「いつ、どこで、誰が、何を、どのように、なぜ、いくらで」といった5W2Hを知らないし、正直なところ関心も薄いし、そこに集中するだけの時間もないし、コミットしなければならないほど任期も長くない。得られるメリットも目には見えにくい。こういう環境下では自治会業務は鬱陶しいものとしてとらえられがちです。

なので、これらの情報を集約し、見える化し、誰しもが次の行動を起こせる状況を作ることが大事です。要はクラウド化されたツールの導入ですね。会議では多少強引になったかもしれませんが、キントーンを入れてDXを図ることにしました。

なぜキントーンを選んだか

クラウドツールは種類が沢山あります。その中でわざわざキントーンを選んだ理由はいくつかあります。

1つは、非営利プランがあったことです。キントーンは自治会などの非営利組織にはかなりの割引価格でサービスを提供しており、導入コストもランキングコストも非常に安いことが挙げられます。

2つめの理由は、知名度が高かったことです。高齢化が進む昨今、新興住宅街といえども既に街びらきから30年を経過し住民の高齢化も進んできている。どうしてもITツールは怖いという人も多い訳です。そういう人に何とか使わせるためには、テレビで意識の低いCMをやっていて知名度だけはあるキントーンは非常にありがたいわけです。とりあえず存在だけは知ってますから。

3つめの理由は、カスタマイズ性が高いことです。昨今のDXのトレンドはツールに合わせて業務を作り変えろというものですが、多くの自治会は地域ごとに独自の業務を持っていて、それを定型化することは難しいわけです。明らかなノンコア業務でツールに合わせろということは可能ですが、自治会レベルだとそういうノンコアはあまり多くない。事業規模が小さいのでノンコアなんてやってられないんです。なので独自業務のデジタル化という方向性に向かい、そうなるとカスタマイズ性の高いツールが望ましいというわけです。

こういうと某筋から「お前それは本当にDXか」という言葉が飛んできたりするのですが、全ての組織がデータドリブンで運営されるに至る必要はないので、既存の業務をデジタル化して情報を整理し見える化するというのも十分にDXです。

まずは役員さんに導入から

そんなわけでキントーンを入れ、非営利プランの審査も通したわけですが、次は役員さんをキントーンに招待し、実際に使ってもらわなければいけません。少しずつタスクを渡して慣れてもらうところからです。今後も自治会DXの話を書いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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