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新事業進出補助金 第2回公募のポイント解説(第1回との違い中心)

申請期限:2025年12月19日/採択発表:2026年3月ごろ(予定)


第2回公募がスタートしました。今回は「第1回との違い」にフォーカスしつつ、実務での対応ポイントを短くまとめます。


全体像

  • 新市場性×高付加価値がより強調。「認知度が低く、高付加価値」という文言が審査項目に追加。
  • 有望度の審査は緩和。経済成長(波及)よりも“新しい市場×付加価値”に軸足。
  • みなし同一事業者の整理:同時申請NG。ただし条件を満たせば2回目申請扱いが可能に。
  • 固定資産台帳の提出削除。実務負担が軽減。
  • 同一計画の再提出禁止(不採択→再挑戦時は見直し必須)。
  • 大幅賃上げ特例が強化:都道府県ごとの賃上げ率+3.5%(実質6.3%〜7.8%程度)。
  • 現行事業・参入可能性の記載欄が削除。新規性の判定はどこで?実務上の書き方に工夫が必要。
  • 政策点に“トランプ関税”が登場(記載推奨の加点要素として)。

スケジュールと基本情報

  • 申請期限:2025年12月19日(金)※曜日は要ご確認
  • 採択発表:2026年3月ごろ
  • 難易度:引き続き要求事項が細かく高難度。準備リードタイムと“書類の整地”が肝心。

第1回からの主な変更点と実務ポイント

1) 新市場性と高付加価値性がより強く押し出される

  • 変更点:審査項目に「認知度が低く、高付加価値」を明記。ニッチ市場の育成を示唆。
  • 実務:
    • 誰にとって認知度が低いのか」を定量(例:検索ボリューム、展示会出展状況、競合の流通比率)で示す。
    • 高付加価値は単価・粗利・LTV・歩留り・省力/省人効果など数字で説明。
    • 新規性は減点項目との連動(単なる○×ではない)→比較表差分の可視化が有効。

2) 有望度の審査が緩和

  • 変更点:ビジネスの“将来性の大証明大会”から比重が低下
  • 実務:
    • 売上予測は簡潔・整合性重視でOK。そのぶん市場の新規性×付加価値の論証に紙幅を回す
    • 「成長率の美しさ」よりこの補助金で何が変わるか”の因果を明確に。

3) みなし同一事業者の整理

  • 変更点:合併・株式移動などがあった場合の取り扱いを明確化。同時申請不可、一定条件で2回目申請扱い
  • 実務:
    • 組織再編の有無と時系列を冒頭で開示。
    • 同時」と「2回目扱い」の線引き条件証憑で裏付け

4) 固定資産台帳の提出が不要に

  • 変更点:固定資産台帳が必要書類から削除
  • 実務:
    • とはいえ設備投資の妥当性は求められる。見積書の仕様整合、型式、性能→成果へのロジックはこれまで以上に明快に

5) 同じ事業計画の再提出は禁止に

  • 変更点:不採択時のコピペ再提出は不可。「見直しを行った上で」提出するルール化。
  • 実務:
    • 不採択フィードバックの仮説化→修正差分の明記(“前回から何を変えたか”を章立てで対比)。
    • レビューシートKPI設計の刷新が有効。

6) 大幅賃上げ特例の強化(要注意)

  • 変更点:これまでの+6.0%から、都道府県ごとの賃上げ率+3.5%へ。結果として6.3%〜7.8%程度が必要に。
  • 実務:
    • 地域別の必要率をまず確認し、原資設計(粗利・生産性・価格転嫁)を数式で整える。
    • 公募要領に6.0%の記載が残っている→認識を誤ると即不採択に

7) 現行事業・参入可能性の記載欄が削除

  • 変更点:なぜ今の事業を書かないのかという疑問が残る仕様。新事業性の判定の場が不明瞭
  • 実務:
    • 公式欄がなくとも、“関連性・カニバ・体制移行”の説明は別章で補完
    • 参入障壁の認識(例:資格・許認可・安全基準・物流/在庫・人材)をFAQ形式で記載。
    • (例示されたノースサファリ事件のようなリスク)→コンプラ・安全・近隣配慮事前対策として明文化。

8) 政策点に“トランプ関税”

  • 変更点:政策点として記載推奨。
  • 実務:
    • サプライチェーンの再設計国内調達率在庫戦略価格耐性定量で。
    • 単なる“キーワード記載”でなく、事業KPIと連動させる。

9) 「応募申請の手引き」→「ガイド」へ

  • 変更点:名称変更。運用文言やチェックリストの構造が変わる可能性。
  • 実務:
    • 最新版の目次→自社ドラフトの章立て1:1でマッピング見落とし防止に効く。

これだけは用意しておきたい実務チェックリスト

  • 新市場×高付加価値の定量根拠(検索・商流・競合比較・粗利/LTV 等)
  • 新規性の“減点回避”設計(比較表・差分・再現性)
  • 大幅賃上げ特例の地域別率→原資の数式(単価・歩留・稼働・回転)
  • 設備仕様⇔成果KPIのロジック(“性能がKPIをどう押し上げるか”)
  • 同一計画の再提出禁止への対応(差分章の設置)
  • みなし同一の整理(時系列・証憑・申請区分の根拠)
  • コンプラ・安全・許認可(参入障壁の事前クリア手順)
  • 政策点(関税等)とKPIのひも付け
  • 新ガイドの章立てに合わせた目次マッピング

まとめ:勝ち筋は“新規性×付加価値×整合性”

第2回は、新しい市場に高付加価値で踏み込む計画を、数字と比較で整然と示せるかが勝負どころ。売上の“きらびやかな伸び”より、課題→施策→設備→KPI→賃上げ原資因果が通っていることが採否を左右します。

相変わらず高難度の補助金です。
不採択→再挑戦の際は、差分の見える化が必須。
要件の読み合わせドラフトの段階レビューを早めに始めましょう。

ご希望があれば、第1回ドラフトのクイック診断(差分提案)や、“新市場×付加価値”の定量化パッケージ(比較表・KPI数式テンプレ)をご用意します。気軽に声をかけてください。

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